・中村天風
泰然自若 / 積
極姿勢 / 内在の力 / 心の持ちかた / 恋慕の
情 / 取り越し苦労厳禁
進化・向上 / 言葉
の積極性 / 正神は額から / 血液 / 正食
/
笑い / 信念と運命
清濁併せ飲む / 霊
主体従 / 潜在意識の活用 /
真・善・美
・ジェームス・アレン
現状が悪くとも / 内側から変わる /
オーラ /
祈り /
永遠の生命 /
利他愛
類は友を呼ぶ /
影響の中心 /
偽の神々 /
振り返る /
波長の法則
・ナポレオン・ヒル
窮を転じる /
念が武器 / 似たような思
考を引き寄せる /
ゴールデン・ルール
優柔不断は大敵
・ジョセフ・マーフィー
運を呼び込む /
思いの力 /
自分=総て /
インスピレーション /
潜在意識の敵
法則と宗教観 /
言霊の活用 /
人の口を借りる /
失敗は成功の母
・スティーブン・R・コヴィー
段階のプロセス /
インサイド・アウト /
選択の自由 /
原則中心 /
Win-Win
愛の法則 /
相手を理解する /
良心に従う
・その他
M.バーバネル /
波長の法則 /
潜在意識 /
病は気から /
自分から出たものは自分へ /
神示や霊訓など、東西スピリチュアリズムの共通性・類似性を見てきましたが、仮にこれが真実であるならば、直観的あるいは経験則として同様の発見をする
人物がいてもおかしくありません。
例えば火を発見するにしても、偶然山火事になるとか、摩擦熱で起こるとか、それぞれに違いがあり、その表現にしても、明るいだとか熱いだとか、ある程度
の枝葉の意見があったとしても、火がつくのは、科学的・物理的法則に則ってのことです。
この法則の外にある場合は火がつくことは決してなく、色々な意見があったとしても、法則自体は些かも変わらないのです。
ですので啓示を知らなくても、スピリチュアリズムで語られる法則がゆるぎないものであるならば、その法則を発見、体験する人がいるのが当然と言え
ます。
また、これは高級霊の通信で”正当である”という評価の高いものに関して共通するのは、簡素で分かり易く、平易に説かれているという点ですが、これから
紹介する哲学者にも共通している点です。
人間は「真理とは深遠で奥深いものに違いない」という思いを抱くのだと思い
ます。
従って、神学の中には難しい文章で色々語ることはあっても、高級霊に言わせると「意味のない行為」といいます。
哲学もまた、分かったような分からないような難解なものが普通で、また好まれる傾向がありますが、思考の中で遊ぶ領域で留まってしまう傾向があり、実行
力を伴わないという欠点を持つ為に、神諭でも以下の様に批判する箇所があります。
伊都能売神諭 |
●女子(※王仁三郎氏のこと)の心の底にある炬火を世に現はして
十分に立ち寄る人
民の腹の底へ染み込むやうに平たう説いて聞かせる世界の大本であるのに学者が聞いても容易に判りか
けの致さん言霊学やら哲学の如な話しをしておりては物事が段々遅れるばかりで、神界は返って迷惑を致しておるぞよ。 |
思えば霊訓や神示などは、どれも膨大な量の記録を残していますが、どれもが根源的には一つのことを、言葉を変え品を変え、色々な表現を使って語っている
傾向があります。上記引用のように、改心改心と一点張りに申すというのも、ある意味本当のことです。
たしかに、学者はもとより、大の大人が「難しい、難解だ」と感じる哲学が、深遠だという印象は与えても、世の中に益となる哲学と成りえるだろうか?と思
えます。
中村天風氏はかつて、日露戦争中に軍事探偵として活躍し、非常に多くの人命を奪いましたが、ついに命運尽きたのか、重い肺結核になってしまいまし
た。病を治す手掛かりを求めて、世界中を廻るのですが、エジプトのホテルでインドのカリアッパという聖者に出会うのです。
「お前は助かる運命にある、俺についてこい」と云う
その言葉のままに、彼はインドのゴーグ村に連れて行かれるのです。
多国籍の人間は、否応無く奴隷身分となるのですが、カリアッパ氏は天風氏を置きざりのまま、何も教えてくれません。そこで、彼は二ヶ月もの間、ただじっ
としていただけなのですが、ついに意を決して、カリアッパ氏に直談判をするのです。
「お前は助かると
言われました。その教えは何時頂けるのでしょうか」
「何時なりと準備はできている、だがお前の方の準備が出来ていない。そ
のほうの準備ができてからだ」
「いえ、私にもできています」
という問答の後に、聖者は水の入った器と、湯の入った器を用意させました
「それでは両方こぼれてしまいます」
「器の水がお前だ、お
前の頭の中は、これまでの屁理屈が入ったままではないか、屁理屈を捨てない限り、私の教えを受け取る事は出来ない」
と言われたときに、天風氏は遂にカリアッパ氏の言わんとする事を悟りました。
ああ、なるほど、こいつは一本参った、と思った(中略)とにかく私は、心の中から、ああ、そうか、 と思った。そしたらにこっと笑ってね『よし、わかったようだな。今夜から俺の所に来い。産 まれたての赤ん坊の様になってこいよ。』いい言葉ですよね。あの二ヶ月は無駄にしたようだが、じつは無駄ではなかった(中村 天風に学ぶ/河野 亮著:廣済堂刊より)
ということで、インドで瞑想を主として、様々な修業をするのですが、そのかいあってか全快するのです。
帰国後に天風氏は様々な活動を始めますが、その天風哲学と言われるものは、後に広岡達郎(元プロ野球監督)や、宇野千代(作家)に影響を与える存在にま
で発展しました。
ジェームス・アレン氏は、1864年に英国に生まれました。15歳の頃には父親の事業の失敗と死亡という理由で学校を中退し、様々な職業を経験していく
ことになります。
その後38歳で執筆活動を行うようになり、19冊の著書を著しました。代表作の『AS A MAN
THINKETH』は、現代成功哲学の祖として大きな影響を与え、後のナポレオン・ヒル(当サイトにも登場)、アール・ナイチンゲール、デール・カーネ
ギーといった人々に影響を与えました。
アレン氏の述べるところは、スピリチュアリズムの思想から霊界や霊といった要素を省いただ
けと言えるほど類似性が強く、主に人の思いや思想と
いった面に重点を置いているものが目立ちます。
ただし、彼自身はその著書の中で、ヘブライの預言者や聖書の話を持ち出すことはありましたが、仏陀(ブッダ)に影響を受けていたようで、その為 か”前の世”と表現したり等、いわゆる転生を示してるものもあります。
全体を通じて、一般の人に向けた書籍である為なのか、非常に分かり易く平易に書かれていますが、もっと深奥の部分で何かを知ってたのではないか?
と思える事があります。しかし、アレン氏自身の話が殆ど残っておらず、謎の多い人物でもあります。
ナポレオン・ヒル博士は1908年、新聞記者として”鉄鋼王”アンドリュー・カーネギーに出会うところから人生が転換していきます。カーネギー氏は新米 新聞記者のヒル氏に一つの提案を持ちかけます。それは、この世でもっとも大きな財産は、資産でもお金でもなく、自分が体系的に築き上げてきたものであり、 社会に還元するのは、この体験を人々と分かち合う事だと考えていたカーネギー氏の願いが込められていました。
そこでヒル氏に、彼自身の成功ノウハウを詳しく語り聞かせました。そして、時間をかけてこの偉大な考え方を研究して行く意志があるかどうかを尋ね
たのです。
この新しい哲学の編纂には20年要し、その間に必要な人物には紹介状を書くけれども、資金的な援助はゼロという、奇妙な提案でした。
結局、ヒル氏はカーネギー氏の提案を受け入れます。こうしてヒル博士の新しい哲学の研究が始まったのです。現在日本では「思考は現実化する(Ⅰ・Ⅱ)/
騎虎書房」が紹介されています。
面白いことに、中村天風氏が説いた信念を強化する方法と、ナポレオン・ヒル氏が唱える方法は酷似している所があります。
どちらも、朝と夜寝る前に、自分のありたい姿を唱えるというものです。天風氏は鏡に向かって、ヒル博士は紙に書き記したものという違いはありますが、い
ずれにせよ、どうも潜在意識に染み込ませる、という方法論は同じようです。
マーフィー博士は、日本では「マーフィーの法則」としてよく知られています。同氏は神学・法学・哲学・薬理学・化学の学位を持っているそうで、多方面に
才能のある人物です。
彼の主だった主張は、上記に出てくる哲学者達と同じく、潜在意識の重要性とその活用法に比重を置いています。
ここでは、神示には記述が見受けられないものの(神示と哲学のカテゴリには入れられない)スピリチュアリズムの視点から見て興味深いものを紹介し
たいと思います。
ジョセフ・マーフィー |
・あなたは潜在意識を通して夢を見ます。夢はあな
たの深層意識のテレビ放送です。 -『値千金の一分間J.マーフィー名言集489』
-
|
これをどう判断するかは自由ですが、夢は潜在意識の働きによるもの、と考えた方が何やら説得力があるように聞こえますが、スピリチュアリズムで は、人は眠っている時に意識は肉体から離れて、霊的な世界へ探訪しているということです。
ここで、地上でかつて科学者であった霊が、地上の科学者へ示唆を与えている様子等が語られているものがあります。
地上の科学者は目覚めた時に、それを単なる夢だと思うのですが、それが重要な意味を持っていたりして、取り組んでいる研究の解決の糸口が掴めたりしま
す。
こうした話はよくあって、ミシンの開発なども、夢がヒントになったという比較的知られたエピソードなどあります。
仮に、霊的世界からヒントをくれるのならば、霊媒も居ることだし、何故もっと直接的に教えてくれないのか、と思いますが、それは科学者自身の功績になら
ない為に行わないそうです。
総じて、別の次元に住む人というのは、自らの世界の存在を証明するということには左程熱心という訳ではなく、実務的に作業をこなして
いるという印象があります。
コヴィー博士は、自信の子供の問題など、様々な体験をエピソードとして交えながら、哲学を編んでいる印象があり、それだけに高い説得力を持っています。 また、1776年の建国(米国)以来の「成功」に関する論文を徹底的に調査したところ、最近の50 年間に出された文献と、それ以前のものとに大きな変化が あることを発見しました。
ほぼ戦後の文献ということになりますが、この変化というのは、コヴィー博士自身が抱えていた問題や、その他仕事で接してきた人たちの心情を考える
と、その場しのぎで表面的、薄っぺらな内容に過ぎないことを発見したのです。
その内容とは、イメージの作り方(見た目という意味です)、テクニックであったり、応急処置的な手法であったりに過ぎなかったのです。
その一方で、初めの150年間の文献は著しく対照的であり、誠意、謙虚、誠実、勇気、正
義、忍耐、勤勉、節制、黄金律(ゴールデン・ルール)などが条件として取り上げられていたのでした。
いわば、古参と言えるジェームス・アレン(英)氏の著作のような内容でしょう。ただし、コヴィー博士はベンジャミン・フランクリン氏の自叙伝を代表的な
ものとしています。
この傾向は日本でも見受けられます。話し方講座や、コミュニケーション・スキル、着こなし等、外面的な処理をする講座や書籍は沢山ありますし、人
気もありますが、内面的な部分の改善をするものは、余り見受けられないか、あっても人気は無いでしょう。
イシヤの仕組みではないですが、優越を得んが為の極度に緊張した闘争
と、経済生活に対する衝動が根底にある現代日本は、高等政策もそうですが、高等な宗教も忌み嫌うようになりました。
そんなまだるっこしいものよりも、手っ取り早く清楚に見える服装をチョイスしたり、知的に見える会話をマスターした方が簡単に思えます。
しかし、コヴィー博士によると、それらは一時的に応急処置的な効果は期待できても、永続的には必ず看破される、としています。
まぁ、それも当然でしょうが、内面的な人格の向上をないがしろにする社会とは、恒久的に様々な問題を生み出し、更に何時まで経っても問題は解決しない社
会になることは明白でしょう。